2020年4月7日火曜日

不安や疑問が怒りや憎しみにならないように

4月7日、きょうから家の長男も小学校が再開し、新学年の始業式となりました。2月27日、安倍首相による休校要請が発表され、3月2日から休んでいたのでほんとうに久しぶりの登校でした。

しかし、親としては複雑な気持ちです。

勉強や友人らとの遊びの面では多少の安心や期待もありますが、休校開始時からくらべると、新型コロナウイルスは全国的に急速な広がりを見せているからです。

新潟市内においては、2月29日に1例目が確認され、4月7日時点で30例の感染が確認されています。国内での感染者は、休校要請時に約200人だったのが、現在では約4,000人となっています。

今晩行われた安倍首相の「緊急事態宣言」の会見では、「このままのペースだと1ヶ月後には東京の感染者が8万人となる」との試算も示されました。

学校再開の判断と、全国的な感染拡大という状況のくい違いを、わたしたちはどう捉えればいいのでしょうか。わたしもそうですが、多くの子をもつ親たちはこの相反する状況をどのように解釈したらいいのか悩んでいると思います。

新潟市の見解を直近の3日分でみてみると以下です。

4月7日、市長メッセージ

「本市は、感染が早い時期に確認されましたが、これら(首都圏や関西圏)の地域とは異なり、感染経路が不明な感染者数はわずかであり、感染は一定程度に収まっています。これは、保健所を中心として検査を行い、対応をしっかりと行っていることや、市の施設の自粛や休止、そして市民の皆さまのご理解、ご協力のおかげであると思っています」(4月7日、市長メッセージ)

4月6日、市長メッセージ

「万が一、幼児・児童・生徒、教職員が感染した場合には、 学級閉鎖や学年閉鎖、臨時休校などの対応を速やかに行います」「感染経路が不明な感染者数はわずかであり、感染は一定程度に収まっています」(4月6日、市長メッセージ)

3月27日、市長メッセージ

「本市は現在、ほとんどの感染者の感染経路が追えており、 経路が不明な患者は発生しておらず、濃厚接触者等を把握できている状況であることから、中間の『2 感染状況が一定程度に収まっている地域』であると認識しています」「市内小中高等学校等は、国の通知を踏まえ、春休み明けに授業を再開することといたしました。専門家のご意見もお聴きし、学校等における感染予防対策を徹底してまいります」(3月27日、市長メッセージ)

以上です。

4月7日付け、朝日新聞新潟版には公衆衛生学が専門の新潟大学院教授の斎藤玲子さんのコメントが掲載されていました。

専門家コメント

記事では、県内では感染ルートがある程度つかめていることから学校再開しても良いと思う、とのコメントが載っています。もちろん教職員、生徒の感染予防の取り組みが前提であるとのコメントも続いています。

また、新潟市は、新潟大学医学部小児科教授の齋藤昭彦さんの意見も参考にしているようでした。齋藤教授と新潟市執行部・教育委員会・議員らの勉強会資料をいただきました(わたしは都合つかず欠席したので)

その資料によれば、これまでのデータから基礎疾患を持っていない子どもであれば重篤化しないこと、新型コロナウイルスは大人から子どもに感染することがほとんどなので、大人の衛生管理が重要であることなどが共有されたようです。

勉強会資料

新潟市は、国や県、専門家の意見を参考にしながら学校再開を決めたことと思います。

ただ、じっさいに子どもを学校に通わせている親にどれだけその決断の背景が伝わったのかに注意が必要だと感じました。「正しく恐れよう」とはよく言われますが、簡単なことではないと思います。

子どもや親、それぞれの家庭環境はほんとうに多様化しています。親の労働環境、情報格差、経済格差、子どもの理解、頼れる身内が近くにいるかどうか、それらは想像以上に多様です。

市民ひとりひとり、ひと家族ひと家族の不安や疑問をすべて解消することは難しいかもしれませんが、なるべく情理を尽くした説明で、ひとつひとつの不安と疑問に寄り添ってほしいなと切に思います。

最近、地域で聞いたある不安の声を市役所の担当課に伝えると、思わず絶句するような言葉が返ってきました。ここで詳しくは書きません。

市役所職員も心身ともにぎりぎりの状態だと思いますが、不安と緊張のなか市内で子育てしている親御さん、子育てや教育の現場で働く職員・スタッフの方々にもそのような言葉が言えるものかどうか、疑問も感じました。年度末の忙しいさなかに一年生議員が朴訥な口調で質問してきたのに嫌気がさしただけでしょうか。

家には保育園児の長女と0歳の次女もいますが、「感染しても子どもは重症化しないらしいよ」、と安心できる親はそう多くないでしょう。

感染症との闘いは長期化が予想されます。

緊急事態宣言が出され、社会の緊張は増していきます。同調圧力も増し、不安や疑問の声をあげることすらはばかられる状況になるかもしれません。

しかし、不安と疑問を無いことにせず、それらがなるべく小さなうちからひとつひとつの解決策、向き合い方、または距離感を見つけていきましょう。不安と疑問をひとりで抱え込みすぎ、それらが〈怒り〉や〈憎しみ〉に変換されると、冷静な判断・行動ができなくなっていくことはさらに怖いです。

ひと声、ふた声と周りで声を掛け合い、冷静に状況を把握し、この厳しい局面を乗り越えていきましょう。