2020年1月14日火曜日

『性風俗シングルマザー 地方都市における女性と子どもの貧困』坂爪真吾

『性風俗シングルマザー』

西区に拠点を置く一般社団法人ホワイトハンズの坂爪真吾さんの新著『性風俗シングルマザー 地方都市における女性と子どもの貧困』(集英社新書)を読みました。新潟市内のデリヘルなど性風俗店で働くシングルマザーを取材した本です。

ひとり親世帯の貧困率は5割を越えるなか、社会的な支援が届きにくい場所で働く様々な状況にある女性をじっさいに取材し、どんな支援や政策が必要かを提言しています。坂爪さんは取材を通じ、女性が置かれている状況を「家族の機能不全」「就労支援の限界」「社会保障制度の欠陥」といった「社会課題の集積地」と書いています。

DVやパチンコ依存症、性行為を強要する夫、または生育時からの貧困、暴力、ネグレクト、本人自身が抱える障害や病いといった複合的な要因から、性風俗店で働きながら生活困窮状態にある個別具体例をいくつも紹介しています。いくら行政が「新潟市版ネウボラ」や「切れ目のない支援」といった政策を掲げようとも、それが届かない現場があることを明示しています。

終章ではふたつの提言がされています。

暴力が日常にあるなかで育つと、異なる生活習慣や価値観の相手とどのように意見をすりあわせて暮らしていいのか、暴力によらない方法を思いつくのは難しい。そこで婚活ならぬ「ファミ活」の必要があること。既存の労働環境で働くだけでなく、自ら仕事をつくれるようにキャリア教育や創業支援を拡充していくこと、などです。

じつは本書のなかでも出てくるデリヘル事業所が運営する託児所に先月、坂爪さんに同行して行ってきました。半日ほどではありますが、預けられている子どもたちと遊んできました。

行政サービスは申請窓口にたどり着かないと受けることができません。予算や職員も年々減らされるなか、ほんとうに必要としているひとにサービスを届けるにはどうするべきか、すぐに答えはでませんが、本書を参考にしながらわたしもじっくりと考え、議会などで提言していけたらと思います。