2019年8月2日金曜日

Noism15周年記念公演『Mirroring Memories』『Fratres Ⅰ』をみて

Noism公演へ

Noism15周年記念公演『Mirroring Memories』『Fratres Ⅰ』を観てきました。わたしは7月19日19:00〜、公演初日に行ってきました。

Noismは新潟市民芸術文化会館(りゅーとぴあ)専属の舞踊集団です。2004年に設立され、これまで15年に渡って新潟市を拠点に国内外で活動を続けてきました。

現在、2020年8月末の任期まであと1年ほどとなりました。その1年前となる今年8月末に中原市長がこれまでの活動を総括したうえで、今後の活動について判断するという状況になっています。

わたしはNoismの活動が継続されることを希望します。

Noismは芸術作品として国際的な評価を得ていること、また政令指定都市・新潟市の魅力を高めていく文化政策の柱のひとつとして大きな役割が期待できるからです。

Noismはこれまでに11カ国で50回以上の海外公演を行ってきました。今年の5月にも舞台芸術の本場・ロシアのモスクワで開催された「チェーホフ国際演劇祭」に出演しました。

同演劇祭では「劇的舞踊カルメン」を披露し、目の肥えた現地の観客から大きな拍手を集めました。ロシア国営テレビや地元紙、業界誌などでも作品の質・独創性が賞賛されています。さらに2021年の同演劇祭への招致もすでに決定しており、作品に対する評価を確かなものにしています。わたしもBSNの特集番組でその様子を見ました。

また、Noismは新潟市独自の文化政策として大きな役割を担っていくのではないでしょうか。

「水と土の芸術祭」「ラ・フォル・ジュルネ」「安吾賞」など篠田市長時代に行ってきた文化事業はのきなみ事業中止となっています。今後、新潟市の文化政策としてなにを目玉にまちづくりを行なっていくのでしょうか。

中原市長が就任し、今後、どんな文化政策を掲げて、政令市新潟市のまちづくりを行なっていくのか。都市のブランド力、発信力を高めていくのか。いまはまだ見えていません。

webより

「新潟開港150周年記念事業」のウェブサイトには「開港150周年に向けて、ますます国際的な文化と経済の交流拠点として、新潟港のさらなる発展に期待が寄せられています。」とあります。

「港」だけでなく、「市」として国際的な文化・経済の交流拠点となるようNoismを打ち出していくのは有効だと思います。

外交において日本は、ロシア、中国、韓国と様々な問題を抱えています。そんな状況下だからこそ、新潟市はロシアや東アジアとの文化・経済交流の前線となるべきだと考えます。

身体表現や芸術には、外交交渉や利害、国境を越えて響きあうものがあるのではないでしょうか。わたしはNoismに国際的な文化交流事業としての魅力を感じています。

ただし、新潟市議会6月定例会の一般質問では、わたしの所属する会派「翔政会」の代表・古泉幸一議員から「市民理解が進んでいるとは言えない」と指摘がありました。わたしもそう思います。

Noismの年間予算の約4割にあたる約5,000万円が新潟市からの助成です。ほかは文化庁などの助成金、そして公演料などが収入となっています。

わたし自身も今回はじめてNoismの公演を観ました。これまでとくべつ熱心なファンだったわけではありませんし、メンバーとも面識はありません。

わたしは継続を希望しますが、なにかしら市民理解をさらに得られるような対策が実行されるべきだと思います。

そして、それは新潟市や新潟市芸術文化振興財団といった運営側が積極的に行うべきだと思います。

Noismの監督・金森穣さんももちろんある程度は関わるべきだと思いますが、金森さんにはもてる才能と情熱のすべてをかけて世界基準の舞台芸術を創作するために時間を使ってほしいなと思います。Noismが世界基準の舞台を新潟市で生み出すこと、それが新潟の魅力を高めていくことにつながると思うので。

税金を使っているので矛盾するようですが、金森さんは広く、多く、市民の理解を得られるような舞台を作っているわけではないと思います。金森さんが闘っているのは世界基準の舞台芸術の場です。そのためには時間はいくらあっても足りないのではないでしょうか。

今回、わたしも初めてNoismを観ましたが、美しい身体表現と舞台演出にしばし時を忘れて見入ってしまいました。

素晴らしい舞台芸術でした。

金森さんには新潟を拠点にさらなる高みを目指して闘ってもらい、その活動をわたしたち新潟市民は楽しみ、新潟市は文化政策として活かして行ってもらいたいです。

過去の公演のフライヤー